イネ初冬直播きの発展と普及を進める会
初冬直播き技術の概要
イネ初冬直播きは、春に集中する農作業を軽減するために開発した技術です。
移植栽培や春直播き栽培の体系で栽培面積の拡大が難しい場合、野菜や果樹などの園芸作と水田管理との作業競合が課題になっている場合などに活用できます。
この技術では、春の苗立ちが播種条件の良し悪しと冬の気象に左右されます。
播種を適切に行い、気象の影響を最小限に抑え、春の苗立ちを確保することがポイントです。
詳細は「技術情報(会員専用)」をご覧ください。
播種時期
播種が遅いほど、越冬して春に出芽するモミの数が増えるが、土が乾きにくく耕起・播種作業が困難になる
一方、早すぎると秋の間に芽が動き出して冬の寒さで枯れる
播種の適期は
・北海道では10月
・北東北では10月から11月
・南東北や北陸では11月
圃場準備
均平確保のために前作は移植栽培が望ましい
漏生イネ対策のため、前作に同じ品種を栽培した圃場が望ましい
耕起前に明渠・暗渠で土壌を乾かし地耐力を確保する
耕起深度は浅耕が望ましい
種籾の準備
できるだけ播種の直前に収穫した当年産の種籾を使用する
収穫後は自然乾燥し、15℃以下で保存する
キヒゲンR2フロアブルまたは鉄でコーティングする
前年産の種籾を利用すると苗立ちが悪くなるが、その対策については現在研究中
コーティングの様子をこちらでご覧ください
播種方法
ロータリーシーダーによる耕起同時播種を推奨する
不耕起V溝播種や無人ヘリ、プラウ耕体系での散播も可能
播種深度は3cm以下が望ましい
播種量は時期や地域、品種によって異なるが、概ね10アール当り北海道で20kg、東北や北陸で10〜15kgである
播種と転圧の様子をこちらでご覧ください
冬の気象影響
越冬中に地温が氷点下を大きく下回ると種籾が枯死する
寒冷地でも十分に積雪があれば地温が氷点下に下がることはないが、
積雪が少ない年は十分な苗立ちを確保できないことがある
これに対する対策はないので、このような年は春に追加で直播きする
地温が氷点下に下がらない温暖地では、積雪がなくても初冬直播きが可能である
苗立ち期の管理
雑草防除のため春の出芽前に非選択性茎葉処理剤を散布する
出芽前に土壌が乾燥すると苗立ちが悪くなるので、土を鎮圧する
苗立ちが極端に悪い箇所には春に追加で直播きしても良い
苗立ちに応じて適切に施肥する
苗立ちが揃った時点で水田に入水し、収穫までは通常に管理する